472．僕はこんな風に考えてきたようです。 あなたならどう考えた？

公営住宅に引越した頃からの記憶しかありませんので　それまでの

期間は精神的に落ち着かない日々だったのでしょう。

父親が蒸発した事もあるのでしょうが　父親一人で悪役を全て

引き受け、僕らには同情する声も多かったように記憶しています。

また外野がある事ない事色々と言うせいか、日々冷静になって

いく自分がいたように思えます。　基本的には過去、現在、未来

に対してどう考えるかでした。

過去、普通の人より贅沢をさせて貰えたのだからラッキーだったし

父親は事業に失敗をした責任を取れない弱さはある人でしたが

僕らにとっては子煩悩な良い父親だった訳で、事故や病気などで

亡くなったと思えば、これから先は自分で自分の人生を切り開け

って事で、当たり前の話しだと思えました。

現在、住まいは長屋のような公営住宅になったし、お小遣いは

無くなったし、欲しい物は自分で何とかしないと買えない状況では

あるけど　これが普通なんだと思えたし、今の僕と同じような境遇

なんていくらでもいるって思えたので　特別何かを感じませんでした。

未来、これは自分自身で作り上げれば良いもので、倒産前まで

確かに色んな資産もあっただろうけど　何も無い人なんていくらでも

いるし　何も無いのだから気楽とも言える訳で、これから作るものは

全て自分で築いたものだから　残そうが無くそうが気楽だと思った。

そして、もうひとつ一番大きいのは気持ち・・・執着・・・でしょうか

これを無くしてくれたのは母親の言動でした。　何かあるたびに

「前だったら・・・」「商売していたら・・・」そんな言葉が出るのです。

それを聞く度に、過去に執着しても意味が無い、執着が強い分

過去に縛られ、後ばかりを見るようになる。　過去の贅沢な生活

への執着があったり、前は金持ちだった・・・といった精神的執着は

なにひとつ、良いことはないように思えたのです。

その結果、１５才の僕が考えていた事を箇条書きにしてみると・・・

①人がどんな風に言おうと、俺にとっては良い父親だったし、彼は

　 彼なりに事業を大きくしようと頑張ったけど、時が味方してくれず

　 倒産をしただけの事。俺に事業の良い部分と恐い部分を教えて

　 くれた訳で、反面教師も含め、やっぱ色々教えてくれた人。

②今まで１５才まで人並み以上の生活が出来たのだから　それで

　 充分、自分の身体と頭を使って働けるだけの体力知力を持た

　 せてくれたり、人から見ると、何の苦労もしてないような顔に

　 産んでくれた両親に感謝

③もし、あのままの生活が続いたら、完璧なほどの馬鹿息子は

　 確実だろうから、これからの世の中を生きていく為に、僕にとって

　 必要悪だったと思える。　弱い立場の人の気持ちも学べた。

④街を歩けば　誰でも知っている倒産の現実、ならば、見栄やら

　 虚勢は要らない、執着も捨てて今の素の自分で気楽に生きる

⑤人間多少の事があっても、時間が解決してくれるもの。 命まで

　 持っていかれる事など殆ど無いのだから、いざとなったら腹を据え

　 て、腹を括って事に当たれば　何とかなるもの。

⑥今の自分がどんなに不幸に思えても　冷静に周りが見えれば

　 もっともっと大変な人はいくらでも居る。　まだまだ落ちるだけの

　 余裕もあるし、上を目指すなら、もっともっと余裕の幅がある。

⑦人は元々裸で生まれてくるもの、その原点に戻っただけのこと

昔から、何度か頭の中で考えた事のある内容を羅列しました。

改めて書いてみると、当たり前の事を言っているだけで特別前向き

だとも思えません。　今ある環境をそのまま受け入れ、そこを原点

として自分の未来を自分や家族や仲間達と切り開いて行くって

どう考えても普通でしょ？　当たり前の話しでしょ？

皆さんが思った事と何処か違いましたか？・・・つづく

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