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美容に携わって30年のある日 忌み嫌ってきた葬儀の仕事を始めるきっかけとなる時は突然訪れた。。
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少し考えると思い出しました。 あの最悪の葬儀を手伝っていた

葬儀社の社長の名刺に書かれていた社名です。 話を聞いた

住職にお礼を言うと すぐにその会社に向います。  到着すると、

小さなテナントの一室を本社として使用しているらしく、小さな

葬儀屋さんという印象です。 ドアを開け、挨拶をして社長は?

と聞くと もうすぐ帰って来ると思うとのこと。 待たせて貰う事にして

事務らしい女性と話をしていると 「うちの社長、葬儀が趣味です

からあまり儲からないんですよ。 斎場で白い幕を綺麗に張っている

から 何をしているんですか? って聞くと、こうして綺麗に張れば

葬家が喜んでくれるし、俺の労働だけで原価は要らないんだからさ

、、なんて言う人ですからね」と笑っています。 この時、僕の中では

ここに依頼する決心をしたのです。 自分の所有している物を使う

事で、相手が喜んでくれるなら使えば良い。 自分の労働力なら

タダだからな、、という感覚、これって奉仕の精神の最たる部分だし

相手が喜んでくれる姿を見て満足するタイプ、、僕らと似た感覚を

持っている人なのは確かです。 そうこうしているうちに社長が帰って

きました。「その節はどうも、、」と挨拶するとすぐに分ったようで、

あんしんサポートの考え方を話し、葬儀実務の依頼をお願いした

いが一施行で、 いくら支払えるのか、、あとで打合せをしたいと

話すと、その提案に快く応じてくれたのです。 NPOになって初め

ての葬儀は、夏の暑い日、電話をくれた若い女性の父親の葬儀

でしたが、何も分らないので教えてくださいという事でした。 余命

数日との事で詳細を打合せ、 いくつかパターンを作ってファミレスで

会い、あるパターンに決定したのですが、事務所に戻った僕は、

違う方法を取ればもっと費用が下げられると判断して、再度会って

変更したのです。 あとからこの話を聞いた人達は一様に「それで

良いって相手が言ってるのに、何でわざわざ料金を下げるような

話をする訳?」と言われたのです。 言われてみれば、それも確か

だとは思いますが、別の方法を思いついたのに 言わずにいたら、

僕自身が後悔するのが分っているからなのです。 仮にその時は 

それで済んでもあとからもっと安くなる方法が分ったら、 依頼者は

決して良い印象では無くなるでしょう。 結果、次へのくちコミも無く

なる訳です。 そんな、、、こんなで事前相談をしてあったので、

ご逝去の連絡が入っても慌てることなく、 先の葬儀社に連絡して

搬送してくる安置施設で待機していたのです。 この時点ではまだ

病院へのお迎えは一切手を出していなかったのです。 安置をして

ドライアイスを当てると「末期の水」を家族に取って貰います。

打合せをすると、隣で死亡診断書の記入をしています。 本当なら

一度見ているはずなのですが、初めてみることばかりに思えるほど

前回の葬儀社と違って丁寧です。 ところが、もっと大きな違いを

目の当たりにしたのが、湯かん、納棺の儀でした。上 掛け布団を

取り去り、ドライアイスを外し死化粧が始まりました。 丁寧な仕事

です。 続いて湯かん納棺の儀では、ひとつひとつ身支度を整える

着衣を説明し、紐の結び方から、足を持ち上げたり、と身支度の

お手伝いをしている。 これが本物の湯かん、納棺なのかと、、

あまりの違いに驚きの連続でした。 この葬儀社から学んだ葬儀

施行一連の作業が、あんしんサポートの基礎で、そこに肉付けを

してオリジナル葬儀が出来上がっていくのです。

「家族目線での葬儀」

自宅での葬儀、 公営斎場での葬儀、 民間施設での葬儀と

いくつかの葬儀で 大枠だけはある程度理解出来た年が明けると

二月の厳冬からの葬儀で大きく成長させて貰えるのです。

その最初は 火葬時間の九十分を無駄にしない為に、お清めを

するのですが、喪主の挨拶、献杯の挨拶までは シーンとしていた

会場が「献杯」の発声直後から一気に変化します。 「ところで、

最近どうだ? 元気してたか?」 「商売は上手くいってるか?」

など葬儀とは無縁の話が飛び交う。 まぁ久々に会った親戚同士

それも仕方の無い事だと 理解はできるのですが、せめて五分

だけでも、故人の思い出話をしても良いような気がしたのです。

そこで 次の葬儀から生まれたのが 「故人を偲ぶ」というA4

サイズの
用紙に書いた文章を料理の下に置いておくのです。

・・・つづく

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葬儀前日、湯かん、納棺の儀では始めに、「合掌!」  「直れ!」

って、、軍隊か!?って突っ込みたくなるような態度と 旅姿に使用

する手甲、脚絆などは自分でサラシ布を切ったの? って言いたく

なるほど安っぽい物、、それを「はぃ 手の辺に置いてください。足の

辺に置いてください」 全てがこの調子、、駄目だこりゃ、、と思って

いると 作業の助手をしている息子さんでしょうか、、きびきびと汗を

かきながら動き回っています。 親は駄目でも息子は使えそうだと思

っていたら 納棺後、家族や親戚が線香をあげている時、息子さん

らしい人に声を掛けました。「息子さんですか?」 「あはっ いいえ

違いますよ。 私は葬儀で使えるスタッフや司会者などを派遣する

会社を経営していますが、今日は全員出払ってて 私しか居なか

ったので来たんです」それを聞いた僕は、、だよなぁ、あの親にして 

この子あらずかと思いましたが その時は名刺交換をしただけで、

それ以上話をすることもありませんでした。 翌日の葬儀は、昨日の

会社から若い男性スタッフが来ており、走り回っています。が、当の

葬儀屋さんは 知り合いの葬儀屋と ずーっとタバコを吸っている

だけで なぁーんもしません。 隣保の方々に市役所の方は休んで

くださいと言われ、苦笑して我々が誰かを告げたのですが、隣保の

方に お茶入れはしないのが通例だと言われ、それを葬儀屋さんに

伝えると「それ我々の仕事じゃないですよ」との返答に、切れそうに

なるのを堪えて言います「誰の仕事かが問題なんじゃなくて、誰かが

お茶入れをする必要があるでしょ?  葬儀依頼を受けた以上、

何事もなく葬儀の全てを終了させるのが責任じゃないの? タバコ

吸ってるだけのあんたがやりゃ良いでしょ?」 とは言ったものの信頼

できずに 結局、千明にお茶入れを指示したのですが、気を利か

せた隣保の方々が対応してくれました。百名以上の会葬者が来て

くれた葬儀の数日後、数万円の、それも少額の紹介料を持って

来たのですが、全てに対して腹が立っていた僕は一喝したのです。

「やる気が無いなら依頼を受けるな」 という僕に 「やる気はありま

すよ」と弱々しい口調で答えた葬儀屋さんでしたが、この話には、

後日談があり、その葬儀屋は あんしんサポートに支払う費用を

くれと葬家に行って言ったのだそうです。 飽きれ返って言葉も出ま

せん。 葬儀さえまともに出来ないのに商道徳も何も無い、最悪な

葬儀社に依頼してしまったのです。でも、この葬儀を経験した事で

紹介業務では無理と判断し、打合せから、葬儀の指揮は全て

当方で行い、人手として葬儀社に依頼する事にすべく、NPO

設立からは、方向転換できたのですから、反面教師としては最高

だったのかもしれません。

「反面教師が本格始動のきっかけ」

初めての葬儀依頼に最悪の葬儀社選択から一週間ほど過ぎると

また葬儀社開拓の始まりです。 でも葬儀社に聞けば、うちは感謝

されていると、最悪の葬儀社でさえ言うのですから とても信用は

できません。 そこで、お寺に聞いてみようと、何気なく訪ね、世間

話しの中で聞きます。 この辺りだと住職から見て、これなら檀家

さんに紹介できると思える葬儀社ってありますか?聞いたのは隣接

する市の寺でしたが、ある葬儀社の社名を言うのです。ん?どこか

で聞いた事のある名前です。 ・・・つづく

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「えっ?どういう事ですか?」 「あのね、仮に二十才で社会に出た

人が八十才で亡くなったとしたら、六十年間税金を払い続ける訳

ですよね。だけど、人生の中には谷もある訳で、とても税金なんて

払えない状況だとしても、支払わせるのが行政で、場合によっては

差押さえもするでしょ? なのに、その人が亡くなっても何もしない

のが行政、ずっと税金を払って来た人なら市と、県と、国が、火葬

だけでもしてくれたって ちーっとも不思議じゃないと思うけど しない。

だから俺達がするんですよ」 それを聞いてた担当者は「なるほどぉ」

と言っていました。 更に僕の話は続きます 「でもね、行政だけの

責任じゃなくて ずっと黙ってきた国民にも責任はあると思う。だから

行政に対してやれ!やれ!って遠吠えするより、実践を先行させ

ようと思っているんですよ。 いつか行政が我々のしてきた事を代わっ

てやる時代が来たら良いなって思ってます」  担当者は少し考えた

ような顔をしてから 「そうですね、そうなれば良いですね」と言って

いました。 申請を完了したのが三年前の四月、認可を受け、

法務局への登録が六月の終わり、ところが、法人格を得る前に、

六月半ばのある日、知り合いを通して突然、葬儀依頼が入って

きたのです。

「初めての葬儀、依頼、最悪な葬儀」

今だから言えますが、我々は なぁーんにも分からないけど 葬儀社

に依頼すれば出来る訳で 何処でも大差ないと考え、近くの葬儀

屋さんに依頼、病院へのお迎えは任せて故人が帰る自宅の前で

待機していました。  軽乗用の寝台車に乗って故人が帰ると、

初めてストレッチャーを持つ、、重い、そのまま部屋に敷いた布団に

寝かせると搬送シートをシーツ代わりに広げる。 依頼をした葬儀

屋さんは車からドライアイスが六本入った茶色の包み紙を重そうに

縁側に置いて広げる (なんで事前に包んで来ないんだろ?)

ドライアイスを当て、布団を掛け、枕飾りと呼ばれる線香具一式を

経机の上に置くと、家族が次々に線香をあげる。 葬儀屋さんは

「葬儀内容が決まったら連絡ください」と言って帰った。葬儀の相談

なんて初めてであるが、僕が初めてかどうかは家族に何の関係も

無い事、そこで今回はNPO設立前なので、我々も勉強の為に

世話役サポートを始めとした一連の支援は全て無料で結構です。

と伝えると、葬儀相談が始まった。、お金が無く、とにかく費用を

抑えたいと言うので、火葬だけの葬儀を前提に話を進めていると、

そのくらいは、それだけはせめてとなり、結果的には一般葬儀になっ

てしまった。費用は親戚の人が払ってくるようだが中々まとまらない。

そうこうしているうちに親戚が集まり話がし難いので、支払いをされる

親戚の方と菩提寺へお布施交渉に出かける。 家庭の事情を話

して可能な限り安くして欲しいとお願いをすると、布施に関しては

後で伝えると言われ帰ってきた。結果的に布施は三十万円下げて

くれ、四十五万円が十五万円となったようです。 親戚が多いので

葬儀日程だけを決めて予約を取ると また夜に伺うと一旦事務所

に戻る。何が何だか分らないままの打合せだし我々の頭の中を

整理するには、中断をして丁度良かった。 二人で、これから確認

する必要がある事項を整理し、親戚が帰った頃を見計らって再度

伺う、料理、隣保、老人会などへの対応を全て終えると、もう日付

が変わろうとしていた。  事務所に戻り依頼した葬儀社に電話を

すると、今は組合の飲み会で前橋に居ないから、明日の昼頃には

帰るので それからにして欲しいと言われる。  はぁ?、、葬儀を

受けた人が自分の都合を優先して動くのか?? この時の対応が

全てであった。・・・つづく

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