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美容に携わって30年のある日 忌み嫌ってきた葬儀の仕事を始めるきっかけとなる時は突然訪れた。。
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午後2時試験開始、、50分後終了、午後3時半発表、発表は

事前に送られて来た通知書に、赤いスタンプで「合格」の2文字か

「不合格」の3文字が押されているのだそうです。

自分の隣で試験を受けていた人は、試験開始から30分で答案を

提出し退室したので少々あわてたそうですが、合否の判定結果を

返却された時、3文字見えたので不合格なのだと分ったらしい。

ここ暫く試験に備えてきた千明から 見事に合格したメールが入った

のは、午後3時40分です。 「よし!」自分はなぁーんもしないのに

ガッツポーズだけは、一人前以上の武井君でした。横浜から帰った

千明が言うには既存の事業者は1ヶ月~2ヵ月後、新規事業者は

3ヶ月~4ヶ月で許可がおりると言われたのだそうです。

「なんでぇ? すぐに出ないのぉー」そう言う僕に 「だってこれから、

申請した書類審査が始まるんだってさ」 「あ、そうか、そんなことを

言われたな」 「で、うちはどっちなの?」 「わかりません」そこから

1ヶ月は、何事もなく、それこそ、うんとも すんとも言わずに過ぎた

1月半ば、突然、横浜から電話が入ります。 電話を代わった僕に

担当者がいくつか問題点を伝えますが、以前、前橋で言われたのと

同じ事だったので 少し怒ったような声に成っていたのでしょう。

電話の向こうから「あのぉ、、僕、武井さんを怒らせましたか?」

我に返った僕は「あ、そうじゃ無いけど 前橋でも同じ事を言われた

ので 何で同じ事を聞くんだ!って思ったのが 声に出ちゃったみた

いですね。 役所の上下関係事情が分らない訳ではないので気に

しないでください」と言うと少しホッとしたような声で言います。

「そうなんですよ。 僕らが良しと判断しても上司が、駄目だと判断

すれば 僕らにはどうにも成らないので、言われる可能性のある部

分はできるだけ伝えないと 結局はみなさんが大変ですからね。

正直、武井さん所の資料は他社と比べると、かなり出来良い物で

ほぼ問題ないからこそ、言われるとしたらって考えると 重箱の隅を

突付くような内容になってしまったのが本音です。 あと、急いで

おられるなら、最終的に許可証を発行するのは 前橋支局から

なので その旨伝えれば急いでくれると思いますよ」 とのことでした。

民間であれ、役所であれ、外からは分らない苦労はあるんだろうな

と思うと ちょっと怒ったような声になったのは可哀相な気がします。

電話を切ると、理事全員の履歴書を書き直して、ある申請書類に

1行付け加えて、即日FAXで返信して完了です。

そこから半月ほど待った2月3日、一時抹消されいる霊柩車の車検

問題もあるので前橋支局に出向くと、もう許可証が届いていると

渡してくれました。 とりあえず、緑ナンバーを装着した霊柩車を

所有する権利はもてた訳で、4ヶ月間ずっと駐車していた霊柩車の

登録と車検が始まります。 陸運局の敷地をあっちに行ってこっちに

行ってと相変わらず あちこち行かされ、全ての手続きが完了し

明日はユーザー車検となった日、数日前に一度話しをしてあった

テスター屋さんに行きます。 車検で行なわれるチェック項目を

事前にチェックし、すんなり車検が通るようにと設けられた民間施設

ですが、5千円で車検前日に来て、当日車検前にも来れば言いと

言ってくれたので まずは前日に行きます。 車輪をローラーに乗せ

ますが、何度やっても合格ランプが点灯しないので、作業スタッフが

タイヤの調整をしてくれます。 続いてブレーキテスト、40kmまで

ゆっくり加速、ライト検査をして一応合格のようですが、タイヤのメー

カーがバラバラのせいでしょうか、四輪の高さが微妙に違うようです。

すぐに、カーショップに行き新品タイヤ4本に履き替え、明日の車検

本番に備えたのです。 当日、再度テスターを受け、本番ですが、

何車線もある中からアドバイスされた車線に入り順番を待ちます。

まだ車は屋外ですが、左右のウィンカーやクラクションの検査は

人手で行なわれました。 僕の前はオフロード車でしたが、テスター

屋さんでは言われなかった事をしています。???俺もやるのかな、

前車が進むと 先ほどの場所にうちの霊柩車を入れましたが、何を

して良いのか分かりません。 殆どは 車検を専門に行なっている

業者さんのようで、女の人や 年配者でも 当たり前のように慣れた

感じですが、僕だけはオロオロさんです。 車から降りて 何かする

のか あっちに行ってキョロ? こっちに来てはキョロキョロ? そのうち

に係官が来て言います。「車に乗っててくださーい」 あら、、そう、、

少し待つと前の車が動き、僕の番です。 ローラーの上にタイヤが

乗ると40kmまでゆっくり加速、、ブレーキ指示のランプ点灯で急

ブレーキを踏む、緑のランプ点灯、続いてパッシング指示ランプ、

今朝テスターの人にパッシングは1回と言われていたので1回、ライト

の前には検査機械が勝手に動いて作動しています。

車を前に出し、マフラー内に棒状の物を差し込むと検査開始、

緑ランプで合格、最後は車体の下で人が何かを叩いたりして検査

全てが完了すると機械に検査表を入れて印刷、最後の部分で

係官に、このあと一番線にと指示され向かうと、そこで車体の長さや

高さ、改造の有無等チェックが済むと車検完了で合格です。

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購入したテントは、テレビで殺人現場などの現場で 人に見せない

ように張る青いテントがあるでしょ?  あれのクリーム色だと思ってく

ださいな。 このテント、結構ガザガサしているのですが キャラメルの

状態にしてから二ヶ月もした頃でしょうか、たまには、走らせないと

バッテリーあがっちゃうかもな、、なんて言いながら、久々にご対面した

霊柩車は、一気に老けた表情だったのです。 嫁入りしてきた時は

ツヤツヤの肌だったのに、シワシワのガサガサな肌?っ思えるくらい

全面が擦り傷で、遠くから見たら、黒っぽいグレーの車に
変身して

います。 またまた、ガーーン、、駄目だこりゃ、すぐにテントを
剥いで

おきます。 もうひとつの目的である エンジンを掛けてのバッテ
リー

チェック、、キーを差し込み、右に回す、、しーん、、外を見ると

千明がニコニコしながら こちらを向いています。 ん? もう一度右に

回す、、しーん、何事も無いかのように 何の反応もしてくれません。

バッテリー臨終の瞬間でした。 そこで、ボンネットを開けバッテリーの

サイズをメモしようとすると、ゴンッ! あたまにボンネットが下がって

当りました。 この車、ボンネットの開閉ポンプが壊れているのです。

この現象は かつて乗っていたクラウンでも一度経験しているので

理解できました。 バッテリー交換は覚悟してたので想定内のこと、

ネットで七〇〇〇円ほどの安いバッテリーを購入し、乗り出す時に

載せかえる事にしました。 一方テントはネットで探した、紙?の

ような柔らかい素材の車体カバーを被せましたが、今も動いてない

時は被せてあります。 騒いだわりには車体カバーを被せただけ、、

というシンプルな結果となりましたが、アスファルトに骨組だけのカー

ートは、今もその姿のまま、なぁーんの意味もなく立ち続けています。

ところで、霊柩車の稼動には何が必要なのかを知らなきゃ始まりま

せん。 すぐに検索開始です。

一般貨物自動車運送事業許可(緑ナンバーの運送屋さんです)

この許可を取るのが大変なのは代行料が三十万円や、中には五十

万円と書かれているのを見ても見当がつく。 果たしてこれを自分達

だけで出来るのか? なぁーんて考えても金がねぇならやるっきゃねぇ、

の発想です。どんな内容なのかを書き出してみる。 これが全て完了

すれば霊柩車として走れるわけです。

一般貨物自動車運送事業許可を得る為には以下が必要でした。

 ・数十枚に及ぶ申請書類の作成をして内容全てに認証される

 ・一般貨物自動車運送事業試験に合格(合格率六十%・

  試験会場は横浜)

 ・一般貨物自動車運送事業登録免許税一二万円納付

 ・国が定めた最低基準以上の対人額をクリアした任意保険への

  加入

 次に緑ナンバー取得の車検通過には次の事項が必要でした。

 ・自賠責保険の加入

 ・仮ナンバー申請

 ・車検手続きと車検

 ・車庫証明

霊柩車は買っちゃったのですから、走らせるには実に面倒な手続き

に進むことになりました。  まずは、前橋の陸運支局に行きます。

初めて足を踏み入れた陸運支局は 建物がいくつもあって全ての

建物に番号が付いています。 とりあえず、それらしき建物に入り、

カウンターで聞くと 2階に一般貨物自動車運送業の設立相談を

してくれるカウンターがあると言われ向かいます。

応対してくれた担当者から 一通りの話を聞いて、申請に必要な

書類の作成方法などを聞く、、聞いているだけで面倒なのは分る、

さらに担当者は、前橋は支局なので 受付はしますが最終確認は

横浜の本局が行なうことになるので 前橋では通った書類でも直す

事は良くあると言う。

書類申請 → 翌月試験合格 → 書類審査 → 申請から

三ヶ月~四ヶ月で許可が下りる。 って事は、最低でも三ヶ月は

掛るって事です。 また、この試験ですが、過去の試験問題集的な

ものは一切無く、自動車六法や参考書の持込みは自由だけど

良くて六割の合格率だから一度試しに受けるのも良いかもしれま

せんね。 と言うのだが、二度不合格なら 全ての申請を再度初め

からやり直すのだから、、そんな悠長な事は言ってられない。

この初めての陸運支局に行ったのが10月30日、途中4回相談に

行き、5回目に申請を完了したのが11月5日です。

その後、暫くは試験日の連絡待ち、12月に入り試験日を電話

確認したが、多分15日くらいだと思うとの事、その数日後、封書が

届き、15日朝、千明一人、横浜の試験会場に行ったのです。

・・・つづく

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車はガソリンを入れれば走る、この程度の知識しかなく、関心も無く

分らない事は分る人に任せたほうが楽、、こんな奴なので「はぁ?」

って思う部分があってもご了承願いたい。 車といえば、今は走り出し

までの総費用が、35万円のディオンという棺が積める車に乗って

いますが、サラリーマン時代からずっと、何台も続けてクラウンに乗って

いた。 理由はもしもの時に安全な車を、、と言ったら営業から勧め

られた。 ただ、それだけの理由です。 だから車の細かい部分に関

心が無い、購入から一年ほど経って 部下達を乗せて都内に出掛

けた時のこと、荷物を積むのにトランクを開けてくださいと言われ車から

降りて、後ろに周りトランクを鍵で開けた。荷物を積んで乗車した時

一人が言う。 「武井さん 何でわざわざ鍵で開けたのですか?」

「ん?トランクのこと?」「はい」「鍵で開けなきゃ何で開けるんだ??」

車内は爆笑、、部下達に言われて探すとボタンがあり、そのボタンを

押すとトランクが開いた。 「ほぉー知らなかった」こんな調子である。

これは、車だけでなく、自分の中で不必要と判断した物は全て同様

である。 携帯電話も10万円くらいした当時から持っているのに、

電話しか使えない、メールを書いたら一日掛るだろう。 写真は撮り

方も知らない、ネットなんて繋いだ事もない。 お陰で迷惑メールは

一度もない。 こんな奴だからか、車は買えば走れると思っていたの

です。 笑い事ではないが、笑える。

美容室の30台ほど停められる駐車場に 霊柩車を荷台に積んだ

4tトラックが入ってきた。 トラックの後部から傾斜の橋を渡って黒光

した霊柩車がバックで下りる。 思っていた通り綺麗なのでホッとする。

とりあえず、事務所で受け渡し書類の確認を済ませると 「初めての

霊柩車ですか?」と聞かれ「はい」と答える。 なら、一般貨物自動

車運送事業の認可は? その際に試験がある、登録免許税で12

万円ほど掛る、でも自賠責や税金は安いなど、続けざまに色々と

言われたが、ちんぷんかんぷんである。 それでも三十分ほど説明を

してくれ、分らない事などあったらいつでも連絡してください。

実に親切な人だ。 色々話を聞くと尾崎豊の葬儀で霊柩車を運転

していたそうで、ファンが殺到して 車に傷をつけられて参ったと言って

いた。 このあと、富岡市にある霊柩車の改造工場に行き、依頼して

ある高級霊柩車を受け取って 都内に帰るのだそうだ、、不要に

なった霊柩車をネットで安く買う人もいれば、高級新車を改造費用

だけでも六百万円掛け1000万円以上の車を購入する人もいる。

その両者が同じ場所にいる。 なんだか、おかしな構図だが、この時

だけは、車に関心の無い自分で良かったように思えた。

運んでくれた方を見送ると霊柩車に乗ってみる。

とは言ってもナンバーは無いので駐車場内をゆっくり走るだけですが

前輪が浮き気味?という印象だ。 見るとガソリンも無いのですぐに

一番奥の目立たない場所に駐車した。 車内も綺麗で臭いもない。

走行距離以外は問題はない。 事務所に戻ると、渡された書類に

目を通す、、三ヶ月毎にきちんと整備した記録があり、時々部品の

交換した様子も分る。 この車、霊柩車専門の運送会社で使用

していたからだろうが、新車で購入し全塗装をして17万kmまで

乗ったのだと言う。 走行距離が多いのは東北や関西、時には九州

にも行ったりしたかららしい。 霊柩車は一般車両に比べて走行する

距離は短い状態で中古販売するか 廃車する事が多いのが普通。

それにしても気になるのは、さきほど言われた諸々の手続きだ。

「なんか 相当大変そうな気がしない?」 という僕に 「そうみたいで

すよねぇ。 ところで、野ざらし状態のままで置くんですか?」と千明。

「だよね、、んじゃ調べてみるわ」カーポート、車庫、屋根だけがある

カーポートでも10万円近くは掛る、、どうしよう、、暫くネット内を

検索していると、あった、、組立て式のテントを被せたカーポートが

3万円ほどで買える。 すぐに注文をすると いつものように千明が

入金に走る。 これで駐車場は安心と思ったが、霊柩車購入時と

同じで、簡単に組み立てられると思ったのは大間違い、、届いた

テントの骨組みを美容室スタッフを2人借りて 4人で何とか完了し

テントを被せて気づいた、、群馬県は空っ風で有名なほど風の強い

ところ、、突風が来れば、テントは飛ばされ、事故になるのは必至、、

やっとの思いで張ったテントを即日剥がす。

参ったなぁ、、どうすりゃ良いんだ? 知人に聞くとアンカーボルトを

打ち込んで、それにテントの足を取り付ければ 何とかなるだろうと

言われ、ハンマードリルを貸してくれた。 コンクリートに穴など開けた

事などないがやってみる。 中々、開けたい場所にピタッと照準が合

わない、、それでも何とか掘り進めると 数cmのところでズゴッと軽く

なった、ん?? 再度、電話をして聞くと コンクリートではなくアス

ファルトが古くなって、下のほうの石が出てきているだろうと言う、、

その先は聞いてても良く分らない、、とにかく、最後までやることにして

全ての穴を開け柱を立て、テントを被せると完了である。

「おぉー やったぁ!」 喜んだ直後、葬儀相談に来てくれた人に言

われる。 「これじゃ風が吹いたら飛ばされますよ」 「えっ、、えっーー

ー駄目なの?」 「はい このままにして冬が来れば 事故が起きま

すよね」 がっく~~~ん二日掛けて頑張ったのに、、無駄だったよ

うです。 泣く泣く、テントを外して骨組みだけにしましたが、雨が

降ったら汚れちゃうし、ずっと風雨にさらしたら、輝きも無くなるしな、

とりあえず、テントを直接 車体に被せておけば 直撃の雨は避け

られると思って 外したテントで車体をすっぽり キャラメルのように

包んだのですが、これも大きな間違いでした。・・・つづく

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