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午後3時40分逝去の知らせを受けた我々は すぐに斎場予約の
確認に入ります。31日が友引の為、30日は早めに予約が埋まる
可能性大だからです。案の定30日の予定は一杯ですが、友引の
31日を挟んで1日でさえ、午後2時の火葬が一件しか空いてない
のです。 この一件に誰かが入れば2日まで火葬できません。
すぐに火葬の予約を入れてから 搬送準備に入りました。
外はどしゃぶりの雨の中、ドライアイスを取りに行き、その足で一昨日
お婆ちゃんに会いに行った病院に向かいます。 病院の裏口から
ストレッチャーを入れ、エレベーターでお婆ちゃんが眠る個室に到着。
150cmにも満たない身長なのに 折り曲げるような姿勢のせいか
やたら小さく感じます。 タオルケットを掛け、搬送シートにくるんで
自宅まで搬送すると、11年ぶりの我が家に到着です。
先に戻っていたご主人が6畳の部屋を片付けておいてくれましたので
布団に安置してドライアイスで処置をします。
ドライアイスが重そうで可哀相な気もしますが 今回は友引が入り
4日間自宅で過ごす事になるので 腐敗防止はしっかりします。
膝が曲がったままで、身体も横向きに寝ていたせいか 真っ直ぐに
上を向けませんので 身体の横にタオルケットを入れて お顔だけは
少しだけ上を向けるようにします。 膝が曲がったままなので膝下に
空間が出来ますが、タオルケットを丸めて膝の内側に入れます。
葬儀内容は ほぼ決まっているので冷却されるまでの間、改めて
部屋の大きさや白幕の張り方などを確認すると 一旦戻り全ての
準備を整えて葬家に到着したのは午後6時半過ぎでした。
白幕を張り、屏風を置き、祭壇を設置すると 花屋さんが施主花を
持って来てくれたので飾ります。 全ての飾り付けが完了すると次は
死化粧です。 今晩や明日の朝、線香をあげに来てくれた人達に
可愛いお婆ちゃんの寝顔のような顔が 見せられるようにとの化粧を
するのが僕の化粧法です。 生きているような顔の濃い目の化粧を
して真っ赤が好きだったからと ルージュを引く納棺師もいますが、、、
目を閉じて濃い化粧は不自然なので 眠っているような顔にすべく
お化粧をします。 お爺ちゃんやお婆ちゃんはどうしても老人特有の
濃いシミがあるのですが、コンシーラを使って消してからファデーション
粉おしろいと化粧を進めるのです。胸元まで化粧をして整髪すると
今にも起きそうな、、寝顔のようなお婆ちゃんの完成です。
この時から4日間、お婆ちゃんの顔に当て布が掛けられる事は一度
たりとも無く、家族、親族の皆さんにとっては眠ったままのお婆ちゃん
のような錯覚だったようです。 実はこの化粧、、ここ数回の葬儀で
何となく感じていた事があったのですが 今回それがハッキリ分った
ので ここに記しておきたいと思います。
それは、僕のしている「眠っているような化粧」が本当に出来た時、
家族の悲しみは不思議と薄らぐのです。冷静に考えれば亡くなって
いるのは誰でも分るのですが、顔を見ると眠っているような顔であり
とても死に顔には見えないからなのでしょう。 またひとつ学びました。
化粧の仕方ひとつで、家族の心がほんの少しだけ癒されるのだと、、
・・・つづく
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昨日までは原案本を 無校正のまま掲載してきましたが、昨日は
ひとつの葬儀が終了した日でもあったので 久々に葬儀日誌的な
我想うを書いてみたいと思います。 6畳一間に10数人が座ると
身動きの出来ない状態のまま葬儀をしたので 葬儀後は足が痺れ
暫く動けない人もいたほどです。 自宅に置く分の返礼品が足らず
追加を届けに行くと 喪主夫妻と我々4人で色んな話をしました。
ご主人いわく、自分達は普段多くは語らないし 人に心を開く事も
少ないのだそうですが 我々には不思議と「何でも話しちゃうよなぁ」
だそうです。 その出会いはたった一週間前のこと、お知り合いの
社会福祉士の人から あんしんサポートに相談してみたら?と聞き
一度話を聞きたいと事務所に来た時は 他葬儀社の話を聞いた
あとのようで 署名、捺印した入会申込書を持っての来社でした。
自分達夫婦も病気を抱えており 決して体調は良くないが長期
入院中の母親が 長くは持たないと医師から言われての事らしい。
自宅は片付けるのも大変だし 狭いので民間か公営施設で葬儀
したいとの事でした。 民間安置で、公営斎場使用だと150人程
入る部屋を常設パーテーションで仕切って使う事になる。 祭壇が
大きいのでどうしても生花が欲しくなる、、まぁ、生花は要らないと
しても安置数日、299000円パック、会場費等で最低でも40万
にはなる。 それに、返礼品と料理なら50万円以下は厳しいのが
現実だと試算した。 今回も「安置所&少人数葬儀場」があれば
189000円+料理返礼でも何とかなるのに、、とつくづく思った。
来社から5時間ほど話をして帰られたのですが あんしんサポートの
会員となり持って来た他社会員申込書は破棄すると言ってました。
翌々日に電話があり、対象のお婆ちゃんが熱を出したとの事。
ならばと自宅に伺う約束をして訪問、、自宅6畳間でも可能だと
伝えてから 体調の思わしくない奥さんは自宅待機で ご主人と
病院に行く、、病室に入ると痴呆のお婆ちゃんは何も反応はしない
のですが 手を握ると、赤ちゃんがするように僕の指を握っていました。
後から分ったのですが 人によっては、、と言うか殆どの人は、手を
出しても お婆ちゃんが自分の手を引っ込めちゃうのだそうです。
僕は お婆ちゃんに嫌われずに済んだ少数派だったみたいです。
寝たきりで 大した反応も無いのですが 何となく可愛いと感じた
お婆ちゃんと挨拶を済ませた僕らは事務所に戻り、万が一の時は
自宅での葬儀を大前提に立案、見積りをしたのです。
その翌々日の午前、お婆ちゃんの血圧が60台に下がったと電話、
その3時間後、逝去の知らせが入ったのです。・・・つづく
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♪ 私の~お墓の前でぇ~♪ 泣かないでください~ そこに私は
居ません 眠ってなんか♪いません~♪何年か前に大ヒットした歌
ですが、なるほどなぁと思える歌詞です。 お墓は故人がこの世に
身体の一部を唯一残した遺骨を入れておく場所であって魂がある
なら そこに居ないと言うのも頷ける話です。勿論、墓に眠っていると
考える人がいたって当たり前だとも思います。 この章では僕の個人
的な感覚を書いてみたいと思っています。 お墓ってなに? 仏壇
ってなに? あの世にいる親や先祖と この世で生活する自分達が
話をする時の窓、、のような物だと思っています。 辛い時は、どうし
たら良い?と聞き、時には愚痴をこぼす。 試験の前にお願い!と
手を合わせ、お陰で合格したよ。 ありがとうの礼を言う。 勿論、
何も答えてはくれないが、冷静になって流れや希望を伝えるあの世と
この世を繋ぐ扉、それが墓や仏壇なのではないでしょうか。
自分が今ここに生きているのは、父母が居たからであり 祖父母が
居たからと、自分だけで成長して来た訳ではなく、子供や孫に受け
繋いでいく事が人の人生であるという素朴な感覚や、誰かのお陰と
いう生きる上でも大切な感覚を、忘れない為の物としての墓や
仏壇、、、もあるのかもしれません。 大切な故人の魂は、あなたの
心の中、、あなたが故人の事を忘れない限りはね。
7、死について、考えたくないのは分る、、、が、それが
高額葬儀へと繋がり、結局は後悔となっているのが現実
自分や家族の死、誰だって考えたくない事、と言うより考えられない
が本音だろうと思う。 これを書いている僕は皆さんより多くの葬儀の
場を経験しているし、突然の死という場面にも出くわしているのだから
死に対する感覚はかなり備えている、、って思うでしょ?
また、思って当然です。 ところが、僕がお馬鹿なのかもしれませんが
どこか対岸の火感覚、これが本音です。 特に自分より、奥さんや
子供達に対しての死は、考えられません。 勿論、、人の終幕が
いつ訪れるかは分らず、それは1分後かもしれない、こんな理屈なら
分ります。でも実感は全くない、、だもん、、皆さんが事前相談を
しない、、したくないのだってよーく分ってるんです。
だけどさぁ、それが、高額な葬儀になったり、後悔の最大要因なのも
確かなんですよ。 でね、生命保険って万が一の時はって思うから
入ってるんでしょ? これと同じように事前相談をし、あとは見直す、
という作業で良い。 これなら、一度だけしっかりしておけば、あとは
定期的に見直したいので、声を掛けてくれって葬儀社に言っておけ
ば良いだけ。 普段は葬儀何て頭の片隅にも置く必要はない。
騙されたと思って、家族全員が元気な時に一度、、信頼に足る
葬儀社の信頼に足る担当者に 事前相談をしてみれば、いつか
僕に感謝する日が来ちゃいます。・・・つづく
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