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遺骨は海に撒いてくれ、、あとの細かい事は近所の葬儀屋に全て話して
あるから心配は無いと亡くなる前に言い残したそうですが 父親が入院
する時、、自分も大腿骨骨折で入院してしまったので 親父の側に居る
事も出来ず 心配をしたようですが 本人の希望通りに火葬できた事や
青い空と海が大好きだったので 以前に行ったハワイの海に散骨できた
事などが 言われた通りに出来て満足したってことのようだ。。
親父が青い空と海が好きな人だったことは初めて知ったが、、言われて
みれば 夏は海パンのようなショートパンツ姿の親父が当然だった。
それにしても遺骨をリュックに背負ってハワイまで行ったと聞き、父親に
対する愛情は 今も続いているのだと思うと 微笑ましく感じたのでした。
と、同時に部屋に置かれた棺の周囲を赤いバラで囲んではいるものの
彼女一人だけでの通夜と火葬、、、どう考えても寂しい葬儀のような気が
するのだが 彼女は満足していると言う。。
かと思えば、僕の姉の亭主の葬儀は賑やかで豪華な葬儀ではあったが
誰一人として満足した様子は無かった、、、葬儀とは？ お葬式とは？？
「葬儀とは？」に対しひとつだけ分った事がある、、、それは・・・つづく
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「身寄りは無く天涯孤独だと聞かされていたので・・・」
「はぁ？・ そうだったんですか なら寝耳に水でビックリしたでしょう？」
「はぃ、、、正直、今でも信じられません」 と年の割には素直というか、、
疑いを知らないというか、、籍も入れずに何十年も過ごしたのであろうが
疑問を抱かない感覚に ちと不自然さを感じましたが その天然さこそが
二人の関係が上手くいく 根源なのもしれないとも思えるのでした。
よくよく話を聞いてみると かなりいい加減な事も言ってたようだが 僕の
名前は甥として出ていたらしい、、 思わず苦笑してしまった。。
ただ、親父との話をしている彼女の目は輝いており 彼女にとって尊敬
した人である事や 国内外の旅行は相当数二人で出掛けたようである。
きっと今まで二人の事を話す相手や機会も無かったのだろう、、笑顔で
明るく話す表情から親父が幸せに暮らしていたであろう事は伺える。。
それが分っただけでも 車を飛ばして来た甲斐はあったと安堵した。
2時間ほど話しただろうか、、場所を宿泊予定のホテルロビーに移して
話を始めると 「私、言われてた通りに出来て すごく満足しているし
今のその辺で見守っていてくれるような気がしているんです」と笑顔、、
ん？？ 何が出来て 何が満足なんだろ？？？ ・・・・つづく
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秋の爽やかな風の中 駅で出迎えてくれた女性は身長165ｃｍほど
ある長身で黒のパンツ・黒のジャケットに黒の帽子と全身黒づくめの
細めの人であったが どう見ても70代には見えなかった、、一通りの
挨拶を済ませ僕の車で お茶のできる場所に移動中聞いてみた。。
「父は確か75才くらいだったと思うのですが、、、」
「はい そうです」
「75才の相手には お若く見えますが、、失礼ですがおいくつですか？」
「ふふ 61才ですから少し年が離れて いたかもしれませんね」
ん？ 53才の俺のほうが 親父より近いじゃん。。。
14才も年下を捕まえていたとは さすがに俺の親父だなぁ、、と変な
感心をしたのを覚えているが 年令を聞きホッとしたのも事実である。
今の61才はまだまだ女盛りであり 八掛けが実質年令だと言われる
って事は48才の女性なのだから 一花も二花も咲かせられるのだ。
38才当時の父親しか知らない僕は 年令を重ねた父親がどんな人で
あったのか気に成って聞いてみると 74才で最後の海外旅行となった
グァムではバンダナを頭に巻いている父親の写真もあり 僕の知って
いる父親像と全く変わっていない事に 何となくホッとしたものです。。。
僕は思いっきり日本人って顔立ちだが 父親はちと古いタレントさんで
ジェリー藤尾さんに似た容貌をしていたが それもそのまんまだった。
写真フォルダを眺めて 懐かしさに浸っている僕の耳に入ったのは
「失礼ですが、、本当に彼のお子さんなのですか？」という言葉だった
「は？ どういうことですか？？」 ・・・つづく
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