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美容に携わって30年のある日 忌み嫌ってきた葬儀の仕事を始めるきっかけとなる時は突然訪れた。。
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写真アルバムと書いて後から読むと あはっ、と笑ってしまう程度の

素朴な物でA4サイズクリアファイル数ページの中に加工した写真

数十点が入り、位牌や遺影写真を始めとして「故人を偲ぶ」用紙や

「お別れの手紙」原紙も入ります。 ホームページやパンフレット等に

使用する為でしたが 写真を撮っても良いと許可してくれた家族に

お礼のつもりで作ったのがきっかけでした。時々遠方に住む家族に

欲しいと言われ何部が依頼されますが その時はインク代を含めた

原価2.000円だけ頂いています。

事務所に戻って ただちに写真加工とアルバム製作を始めます。

印刷が終わると午後8時過ぎには 長女宅まで持っていきました。

喪主ご夫妻は 地元に戻られたあとでしたが 残った親族には

見せることができました。 翌日、前橋在住の長女宅に行き集金を

済ませ、お茶を頂きながら故人の話を聞いていると 母親遠い

九州で病気になり 夫婦で仕事の休暇をとって迎えに行ったのだ

そうですが 病人を飛行機に乗せるのは精神的・肉体的負担だけ

でなく手続きも大変なのだそうです。それでも母親は何一つ文句も

言わず黙って飛行機の窓から 住み慣れた故郷の景色を心に刻む

かのように見ていたのが印象的だったと言っていました。

ご夫婦と我々の四人で話しましたが 皆で涙を流しながら故人の

思い出を語ったひと時でした。 正直、それまでは長女の夫である

故人の義理の息子さんには あまり良い印象を持っていませんで

したが会社の休みを取り、迎えに行き、全ての手続きをし、自宅に

居る時は義母が待っているからと 会社で食べれば済む昼食を 

わざわざ自宅に戻って義母と一緒に食べた話などを聞くと 根は

優しい人なのだと分り、葬儀中に我々に対してくちにした言葉は 

何処にもぶつける事が出来ずにいたイライラが出ただけの事だし 

一緒に涙したせいか、その後は嫌な印象も無く お互い笑顔での

会話となったのです。 ただ、喪主夫婦は斎場が最後となっていた

ので 少々気に成ったまま数日が過ぎた日、、、手紙が届きました。  

                                  ・・・つづく

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斎場に飾られた生花二段スタンドは 17基にもなっていました。

棺の中に5基、、親族持ち帰り用に7基 そして沼田方面でなら

当たり前でも前橋には無い習慣 一般会葬者の人達にも花束に

して持たせたのです。 家族親族の焼香が済み挨拶の前に一瞬

動きを司会者に止めて貰って5基を外に出し花束にしました。

花屋さんが二人で必至に花束を作りましたが 一般会葬者焼香が

済むと、、人が溢れて出て来ますので 事前に作った花束は終わり

出来上がりを走って運ぶ状態になりました。 一般会葬者全てに

花束を渡した頃は冬なのに汗ビッショリな自分がいました。

すんげー疲れたね、そういう僕に花屋さんは笑顔で言いました。

「でも良いんじゃない 折角の花が無駄にならないし 有りだよね」

うん 僕も千明も同じ感覚です。 一息つく間もなく初七日法要も

済んで お別れの儀の準備です。 ご親族は一旦会場の外に出て

頂き、花を摘み、仏具を片付け、棺を正面に設置し蓋を開けます。

司会者のナレーションでお別れの儀が始まりました。 

用意した手紙を読み上げる長女、、すすり泣く嗚咽が 段々大きく

なってきます。 読み終える頃は声を出して泣く人達もいっぱいです。

兄弟姉妹四人で 用意した白のかっぽう着の四隅を持って母親の

上に広げて掛けてあげます。。つづいて、スタンド生花5基分の花を

棺いっぱいに入れると しばしお別れの時間です。。その後、火葬し

拾骨をして 葬儀の全てが終了した時、、外は暗く冷たい雨でした。

親族の方々を送り出すと すぐに事務所に戻り 県外へ帰る喪主に

何とか持たせてあげようと 写真アルバムの作成です。・・・つづく


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【お母さんへ】

《 あと2ヶ月で お父さんが浄土へ帰ってから4年になりますね。

もうお父さんには会いましたか? すぐに分りましたか?

きっとお父さんが笑顔で「待ってたよ」って迎えてくれたと思うけど

お父さんは お母さんの作った「おはぎ」「らっきょ漬」「五目寿司」を

首を長くして待っていたでしょうから、、、

お母さんが料理を作る時の姿、、、

白のかっぽう着を兄弟で入れる事にしました。

このかっぽう着で お父さんに美味しい料理を

沢山作ってあげてください。

4年間一人にさせた お父さんに甘えさせてあげてください。

お母さんも お父さんに沢山甘えてくださいね。。。

私達 兄妹を産んでくれて、、、ありがとう、、

人の悪口を言わない、今日より明日は もっと良い事があるよって

生き方のお手本を子育ての中で教えてくれたお母さん、、、

これからも兄妹 力を合わせて生きていくから心配しないでください

そして、、、今まで沢山の愛情をありがとう、、》

当日出棺前に この文章を読んで頂く予定の長女に見せました。

読んだ長女は納得されたようで、読みながら何度もコクリ、コクリと

涙を流しながら うなづいていました。

手紙はひと安心と 葬儀会場の準備状況を確認にむかいます。

会場に着くと準備が始まっていましたが 予想よりスタンド生花が

多いことが分りました。 ただ、喪主は県外の人であるため葬儀の

後飾り段は無いのです。。棺に入れる生花、、親族用の花束、、

どう考えてもあまります。。そこで我々の取った方法とは・・・つづく


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